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「風の無い穏やかな秋の朝・・・」 風の無い穏やかな秋の朝のことでした。時間は午前は八時半を過ぎたころです。 私の住まいの方向をふと眺めた時に白く天に向かってのびゆく煙が見えました。 何だろう、天気もいいから焚き火かなと思っていたら、自宅より「隣の家から火出 てら。」との知らせが入りました。「はっ、何?えっ家事だか。」隣家とは、車一 台通るぐらいの道路そして我が家の作業小屋をはさんで約10メートルという間隔 です。先ほど自分が見たあの煙は隣家から出ていたものだったと思うと同時になん とも言い難い気持ちが自分の心を支配しはじめました。 自宅に戻るとまだ消防車も見えませんでした。付近にある用水路を見てみると水 が流れておらず、ただただ、燃え盛る火に飲み込まれていく隣家を眺め、おろおろ しながら泣いていました。大きくなっていく炎は、窓ガラスを突き破り、離れてい てもかなりの熱を感じられるようになりました。作業小屋の窓ガラスにひび割れが でき、このままだといずれ家に移ってきてしまうのではという恐怖が感じられまし た。万が一という事もあるから家にある大事なものを出した方がいいといわれ、私 は日蓮寺に関するものを手当たり次第袋に入れ、炎よりも遠いところへ持ち出しま した。そして、心の中でどうか隣家の方々を助けてほしい、早く火の勢いが収まり ますようにと願い唐突ながらに、日蓮寺に電話をかけさせていただきました。その 甲斐があり消防車からの放水も始まりそして、隣家の方々もみなさん無事でした。 それが、なによりでした。 後日、日蓮寺に伺ったさいに管長様より「日蓮様がみなさんを、お守りになった んだよ。」そして、「誰も好きこのんで今回のような事はしないからね。しょうが ないよ。人命が失われる事がなかったのが一番良かったことだよ。」とありがたい 言葉を頂きました。とたんに、自分の気持ちの中にあった、怖かったという気持ち が癒されていくのを感じました。 人はいろんなことに遭うものです。でも、そのような時に、なにかを教えて頂 き、気持ちまで癒していただける日蓮寺があるということは、素晴らしい事だと改 めて感じました。本当にありがとうございました。 (秋田県仙北郡 I. M) |